データ分析をするときに意識していること

データ分析者の果たすべき役割として良く言われることに、「価値ある意思決定をできるようにサポートすること」と「意思決定を効率化できるようにサポートすること」というものがあるが、このサポートの塩梅が非常に難しいことがある。

例えば、「データ上大きな効率化が期待できそう」と思われる案があったとしても、現場の人にとっては非現実的なこともある。また、分析の結果 非常に価値があると思った施策案があったとしても、ビジネス的な観点で「今やるべきではない」と判断されることもある。

前者は実際の実現性を理解できていないがために無茶な効率化になってしまい、後者は事業に対する理解が足りていないために施策案が実際のアクションに結実しない。この二つに共通しているのは、データ分析の結果「価値がある」「効率化できる」と思っていることが、他者の視点から見て同じように思われるわけではない、ということだ。

なので、データ分析をするときには相手の視点も入れながら提案等を行っていく必要がある。

具体的な方法としては、例えば分析に入る前に事前に「根本的な課題は何か」「どこまでの解決ができると良いか」についてヒアリングをして、自分が分析依頼者と同じ視点で物事を見られるようにする、という方法がある。また、提案を作る過程においても、ときおり依頼者からフィードバックをもらったり、案を複数用意してその中から相手がベストなものを選べるようにする、という方法もある。

一方で、上記の話とは別に、分析をしても "意思決定の質を高めるような" or "意思決定を効率化できるような" 案が見つからないこともある。そのような場合は無理して案を出すのではなく、むしろ分析依頼者とともにどうPDCAを回していくかを決めた方が良い。

例えば、手元に十分なデータがない場合などは分析をしたとしても断片的な状況しか分からない事が多い。そのようなときには、データから分かること・分からないことを依頼者に共有し、その上で何をしていくか(まずはデータを収集できる仕組みを作るのか・断片的な情報から施策案を考えていくのか、その後はどのように改善を進めていくのか など)を決めた方が、分析チームと依頼者のいるチーム両者にとってスムーズな動きができる。

このように、分析を用いた問題の解決がすぐにできそうにないときには、PDCAの進め方から共に決めたり、それがスムーズにできる環境を整えたりするのがデータ分析者の役割になってくる。

上記二点(「依頼者の視点も入れながら提案を行うこと」と「状況に応じてPDCAの進め方から決めること」)が、私がデータ分析をするときに意識していることである。今回はあとで振り返ることができる形で残しておきたいと思い、記事に起こした。